物質を構成している原子や分子がどのように集合しているのかを観察するための方法として、X線結晶構造解析がある。X線結晶構造解析は、結晶中の原子配置を精度良く評価して、被験物質の性質を解明する研究手法としてすぐれているが、試料の放射線損傷やX線光子数の少なさが原因で高分解能データが得られないと、解析精度が低下するという弱点がある。こうしたなか、計測できない高分解能データを推定・発生する技術により、超高精細とも言えるX線結晶構造解析を実現させるべく研究を進めているのが、理化学研究所 創発物性科学研究センター 物質評価支援チーム … [もっと読む...] about 高分解能データの推定技術で、超高精細な結晶構造解析を実現する〜星野 学・理化学研究所 創発物性科学研究センター 物質評価支援チーム 研究員
Nano Technology/Materials
新世代3Dプリンターの開発で、地産地消をつくる〜梅津 信二郎・早稲田大学 創造理工学部 総合機械工学科 教授
3Dプリンターの登場後、「個人がつくりたいときに物をつくることができる」社会への期待が高まっている。こうしたなか、単なる趣味を超えた「社会にとっての最適な地産地消」を理想系とし、3Dプリンタが日常に溶け込んだアーキテクチャを構想しているのが、早稲田大学 創造理工学部 総合機械工学科 の梅津 … [もっと読む...] about 新世代3Dプリンターの開発で、地産地消をつくる〜梅津 信二郎・早稲田大学 創造理工学部 総合機械工学科 教授
宇宙滞在技術の開発から、地球の新たな環境資源技術を生み出す〜中田 一弥・東京農工大学大学院 准教授
地球上の環境・資源問題を解決するためのヒントとして、宇宙に滞在するための技術開発によって生まれたエコ技術、再生技術を応用するというアプローチがある。こうしたなか、光エネルギーを化学反応エネルギーへと変換する光機能性材料を開発・応用して環境汚染物質や有害微生物の除去、ありふれた資源から化学品や薬剤などの有用物質を作り出す研究に取り組んでいるのが、東京農工大学大学院・農学研究院・生物システム科学部門の 中田 一弥 … [もっと読む...] about 宇宙滞在技術の開発から、地球の新たな環境資源技術を生み出す〜中田 一弥・東京農工大学大学院 准教授
コンクリートの研究から、建築の本質を見直す〜野口 貴文・東京大学大学院工学系研究科 教授
現代の建築物の主要な構造形式となっている鉄筋コンクリートは経年変化に弱く、都市の景観を保全するという観点から改善が求められている。こうしたなか、コンクリート建築の第一人者として、建築材料の開発および性能評価、ならびに材料選定手法(材料計画)の体系化、資源環境問題も視野に入れた研究を行なっているのが、東京大学大学院工学系研究科の野口貴文教授だ。今回は野口教授に、いま考えるべきコンクリート建築のあり方について話を伺った。 自然環境下で「安定」な材料を追求 Q:まずは研究の概要について教えてください。 当研究室では、一貫してコンクリートの研究を長年続けてきました。もともとコンクリートというものがいつできあがったのかですが、セメントを広義に捉えると、紀元7000〜8000年前にセメントを用いたコンクリートの床がつくられていたことがわかっています。もちろん現代 … [もっと読む...] about コンクリートの研究から、建築の本質を見直す〜野口 貴文・東京大学大学院工学系研究科 教授
スマートグリッド研究で、電気の新たな時代を描く〜山口 順之・東京理科大学工学部 電気工学科 准教授
電力システムは社会を支えるインフラとして、地球温暖化、エネルギーセキュリティ、電源ベストミックスといった課題に直面している。その課題を解決すべく、「電力システム工学」という分野から再生可能エネルギーの大量導入やIoT・AIと融合したスマートグリッド・超スマート社会の構築を実現するための研究を行なっているのが、東京理科大学工学部 電気工学科 の山口 … [もっと読む...] about スマートグリッド研究で、電気の新たな時代を描く〜山口 順之・東京理科大学工学部 電気工学科 准教授
電気自動車の時代に必要な蓄電池を開発する〜藪内 直明・横浜国立大学大学院工学研究院 機能の創生部門 教授
電気自動車の普及など、100年に一度の変革期とされる自動車業界にとって、あらたな蓄電池の開発は必要不可欠である。こうしたなか、既存のリチウム電池の高機能化や、リチウムに代わるナトリウム電池の開発など、新時代のバッテリー開発に取り組んでいるのが、横浜国立大学大学院工学研究院 機能の創生部門の藪内 … [もっと読む...] about 電気自動車の時代に必要な蓄電池を開発する〜藪内 直明・横浜国立大学大学院工学研究院 機能の創生部門 教授
最小単位からものを組み上げ、未踏領域を開拓する〜寺尾潤・東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻 相関基礎科学系教授
より「小さく」していく従来のものづくりの手法は、年々物理的・経済的な限界を迎えつつある。そこで注目されているのが、有機合成による分子デバイスの作製だ。フラスコで行う合成化学的手法は、従来の高価な微細加工装置やレアメタルを用いることなく、安価な反応装置と有機分子により電子回路の作製が可能になるため、大きな期待が寄せられている。こうしたなか、有機化学、高分子化学、応用物理など複数分野を融合し、超微小・超低消費電力の分子エレクトロニクス素子の創成を行う研究に取り組んでいるのが、東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻 相関基礎科学系の寺尾 潤 … [もっと読む...] about 最小単位からものを組み上げ、未踏領域を開拓する〜寺尾潤・東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻 相関基礎科学系教授
世界最高の電子顕微鏡の開発で、先端ナノ計測を可能にする〜柴田直哉・東京大学大学院工学系研究科附属総合研究機構先端ナノ計測センター教授
近年の電子顕微鏡の発展はめざましく、原子サイズ以下の分解能を持つまでに進化している。こうしたなか、先端ナノ計測を可能にする電子顕微鏡の開発に取り組み、ナノテクノロジーにブレイクスルーを起こすと期待されているのが、東京大学大学院工学系研究科附属総合研究機構先端ナノ計測センターの柴田直哉教授だ。最近では、磁石や鉄鋼など磁性材料の原子が直接見える画期的な電子顕微鏡の開発を発表するなど、めざましい成果を挙げている柴田教授に、電子顕微鏡がもたらす無限の可能性について話を伺った。 電子の振る舞いを「直接」見るレベルまで開発を進める Q:まずは研究のニーズについて教えてください。 現在の顕微鏡は性能がたいへん向上しておりますが、その顕微鏡の中でも分解能が一番高いものが電子顕微鏡です。現在、最高性能のものでは「40.5ピコメートル」という分解能が出ています。これは1 … [もっと読む...] about 世界最高の電子顕微鏡の開発で、先端ナノ計測を可能にする〜柴田直哉・東京大学大学院工学系研究科附属総合研究機構先端ナノ計測センター教授
超平坦技術で、刃物の新たな可能性を実現する〜江龍修・名古屋工業大学教授
「刃物を磨く」ことは奥が深く、一般的には表面に光沢が出た状態を磨いた状態とされているが、真に刃物を磨くためには表面だけではなく「内側」の原子の配列を整えることが重要である。この、内側までが整然と並んだ状態を「超平坦」という独自の用語で定義し、刃物の新たな研磨方法を開発しているのが、名古屋工業大学の江龍修教授だ。江龍教授の技術は、従来磨くのが困難とされていたシリコンカーバイドに実用化され、重電分野のデバイスなどに広く活用されている。「刃物には無限の可能性がある」とし、今後は食物や医療など多分野への展開を視野に入れている江龍教授に話を伺った。 内側の電子配列を整える「超平坦」技術 Q:まずは研究の社会的なニーズについて教えてください。 磨いたものというのは「ピカピカになる」といいますが、そもそもピカピカとは何か、ということを考えてほしいのです。ピカピカと … [もっと読む...] about 超平坦技術で、刃物の新たな可能性を実現する〜江龍修・名古屋工業大学教授
熱電変換の研究で、熱エネルギーの有効利用を実現する~野村政宏・東京大学生産技術研究所准教授
エネルギーの有効利用が社会で求められるなか、近年再度注目を集めているのが「熱」エネルギーである。従来、熱エネルギーはコントロールが難しい面があったが、近年この熱エネルギーをナノテク領域からアプローチすることで、新たな発見と技術が生み出されつつある。こうした中、「フォノンエンジニアリング」と「エネルギーハーベスティング」といったキーワードを軸に研究を進めているのが、東京大学生産技術研究所の野村 政宏 … [もっと読む...] about 熱電変換の研究で、熱エネルギーの有効利用を実現する~野村政宏・東京大学生産技術研究所准教授