有機反応を生体内で直接起こす「生体内合成化学治療」が注目されている。こうしたなか、がん細胞に直接遷移金属触媒反応を実施することで、がんを効果的に治療する治療法を発見するなど、めだった成果を挙げているのが、東京工業大学と理化学研究所の両者のクロスアポイント制度で研究を行なう田中克典主任研究員だ。今回は田中氏に、研究の概要やがん治療の可能性について話を伺った。 薬にする化合物をもう一度見直す Q:研究の概要について教えてください。 薬をつくることは、薬をどう「デザイン」するかということと同じです。コンピューターの計算機能を使って化合物を特定の疾患に効くようにしたり、副作用を抑えるためにいわゆる「ドラッグデリバリーシステム」をつくったりするなどの方法がありますが、いずれも限界を迎えていると思います。どれだけ考えても、つくれる化合物やその毒性などはある程度決 … [もっと読む...] about 遷移金属触媒反応で、生体内合成化学治療の実用化をめざす〜田中克典・東京工業大学 教授、理化学研究所 主任研究員
「飲む体温計」の開発で、新時代の健康デバイスを開発する〜吉田 慎哉・東北大学大学院工学研究科 特任准教授
ヘルスケアの市場が拡大するなか、次なるデバイスとして無限の可能性を秘めているのが、飲む体温計だ。実用化することができれば、我々の生活を大きく変える可能性がある。こういった飲込み型デバイスの開発に取り組んでいるのが、東北大学大学院工学研究科・工学部 ロボティクス専攻の吉田 … [もっと読む...] about 「飲む体温計」の開発で、新時代の健康デバイスを開発する〜吉田 慎哉・東北大学大学院工学研究科 特任准教授
5G時代の実現に向け、ミリ波の通信技術を開発する〜岡田 健一・東京工業大学工学院 電気電子系 教授
5G時代の到来にむけ、無線機器の開発が求められている。5Gは従来使用されてこなかった帯域で、ミリ波の導入が最大の特徴となっている。こうした5G時代を見据え、新世代の無線機器開発に取り組んでいるのが、東京工業大学工学院 電気電子系の岡田 健一教授だ。今回は岡田教授に、時代に求められる開発の状況について話を伺った。 電波資源を有効利用する「ミリ波」帯域 Q:まずは研究の概要について教えてください。 現在の無線通信に使われているのが、マイクロ波です。マイクロ波は周波数としては、0.3~30ギガヘルツのもので、その中でも主に携帯電話の通信で使っているのが6ギガヘルツ以下のものになります。3G, … [もっと読む...] about 5G時代の実現に向け、ミリ波の通信技術を開発する〜岡田 健一・東京工業大学工学院 電気電子系 教授
スマートグリッド研究で、電気の新たな時代を描く〜山口 順之・東京理科大学工学部 電気工学科 准教授
電力システムは社会を支えるインフラとして、地球温暖化、エネルギーセキュリティ、電源ベストミックスといった課題に直面している。その課題を解決すべく、「電力システム工学」という分野から再生可能エネルギーの大量導入やIoT・AIと融合したスマートグリッド・超スマート社会の構築を実現するための研究を行なっているのが、東京理科大学工学部 電気工学科 の山口 … [もっと読む...] about スマートグリッド研究で、電気の新たな時代を描く〜山口 順之・東京理科大学工学部 電気工学科 准教授
エピソード記憶のメカニズムを、ネットワークレベルで解明する〜藤澤茂義・理化学研究所脳科学総合研究センター システム神経生理学研究チーム チームリーダー
脳の海馬は、経験した出来事についての記憶である「エピソード記憶」の形成を担っているが、この海馬がどのような神経回路メカニズムによってエピソード記憶を形成しているのかは未だ解明されていない。こうしたなか、脳の海馬を中心に、エピソード記憶などの認知機能の神経メカニズムをネットワークレベルで解明するべく研究しているのが、理化学研究所脳科学総合研究センター … [もっと読む...] about エピソード記憶のメカニズムを、ネットワークレベルで解明する〜藤澤茂義・理化学研究所脳科学総合研究センター システム神経生理学研究チーム チームリーダー
新しいメモリ技術で、次時代のコンピューティングを実現する〜小林正治・東京大学工学系研究科附属d.lab、東京大学生産技術研究所 准教授
世の中で年々増大しつづけるビッグデータはデータセンターでの処理とネットワークトラフィックをひっ迫しつつあり、端末であるエッジデバイスの役割が増々重要となってきている。エッジデバイスはエネルギー制約のもとで低電力かつ高性能な処理が求められてくる。こうした中、エネルギー効率が良い集積回路・システムの実現に向けて、既存のデジタルメモリとは異なる新たな不揮発性メモリ技術の開発と応用に取り組んでいるのが、東京大学工学系附属d.labおよび東京大学生産技術研究所の小林正治准教授。今回は小林准教授に、新時代のメモリ技術の展望について伺った。 人工知能に必要なメモリデバイス技術を開発 Q:まずは、研究の社会的なニーズについて教えてください。 現在のスマートフォン、パソコン、ロボット、自動車まで、すべてのエレクトロニクスの心臓部となっているのが半導体集積回路です。この … [もっと読む...] about 新しいメモリ技術で、次時代のコンピューティングを実現する〜小林正治・東京大学工学系研究科附属d.lab、東京大学生産技術研究所 准教授
医工連携で、膵がん診断ナノデバイスを開発する〜村田 正治・九州大学先端医療イノベーションセンター特任教授
がんのなかでも早期発見が難しく、治療も難しい膵がんの治療には、あらたな技術が求められている。こうしたなか、タンパクからつくったナノデバイスを活用し、膵がんに特化したカプセルをつくることで、ドラッグデリバリーシステムの新たな活路を拓いているのが、九州大学先端医療イノベーションセンターの村田 … [もっと読む...] about 医工連携で、膵がん診断ナノデバイスを開発する〜村田 正治・九州大学先端医療イノベーションセンター特任教授
世界の収量データベースから、穀物の収量変動を予測する〜飯泉 仁之直・農研機構 農業環境変動研究センター主任研究員
世界レベルでの食料需給の安定化と飢餓対策のためには、グローバルな食料生産変動の予測・監視に基づく食料輸入国での備蓄や国際機関による緊急援助などの対策が重要である。しかしながら従来、入手できる作物収量データには制約があり、予測できる地域が限定されるという課題があった。こうしたなか、主要穀物の生産地域を網羅するグローバルな収量データベースを構築し、気温と土壌水分量の季節予測データと組み合わせ、全世界の収穫面積の約20%にあたる地域の米・小麦の収量変動を収穫3か月前に予測できるモデルを発表したのが、農研機構 農業環境変動研究センターの飯泉 仁之直 … [もっと読む...] about 世界の収量データベースから、穀物の収量変動を予測する〜飯泉 仁之直・農研機構 農業環境変動研究センター主任研究員
キリンの解剖から、首の進化を解明する〜郡司 芽久・国立科学博物館日本学術振興会特別研究員PD
ヒトなど哺乳類を含む脊椎動物(せきついどうぶつ)の生態や進化を考えるうえで重要なのが、首や背骨に関する解剖学的な視点である。これら脊椎動物のなかでもキリンに注目し、独自性の高い研究をおこなっているのが、国立科学博物館の郡司 … [もっと読む...] about キリンの解剖から、首の進化を解明する〜郡司 芽久・国立科学博物館日本学術振興会特別研究員PD
電気自動車の時代に必要な蓄電池を開発する〜藪内 直明・横浜国立大学大学院工学研究院 機能の創生部門 教授
電気自動車の普及など、100年に一度の変革期とされる自動車業界にとって、あらたな蓄電池の開発は必要不可欠である。こうしたなか、既存のリチウム電池の高機能化や、リチウムに代わるナトリウム電池の開発など、新時代のバッテリー開発に取り組んでいるのが、横浜国立大学大学院工学研究院 機能の創生部門の藪内 … [もっと読む...] about 電気自動車の時代に必要な蓄電池を開発する〜藪内 直明・横浜国立大学大学院工学研究院 機能の創生部門 教授