近年めざましい発達を遂げるAI(人工知能)は、クリエイティブの分野でも活用が期待されている。長年にわたって音楽の専門家がおこなう操作の事例をデータベースに蓄積し、再利用するシステムを構築していたのが、理化学研究所 革新知能統合研究センター(AIP)の音楽情報知能チームの浜中雅俊チームリーダーだ。一般の利用を踏まえた音楽研究について、その最新状況をうかがった。 音楽家の直感を「構造」であらわす Q:まずは、研究の概要について教えてください。 音楽を作ったり曲を編曲したりすることは、足し算・引き算のように記号で表現をして計算することができるものです。例えばある式ができて、別の曲にそれを足したり掛けたりすることで、また新しい曲ができたりするわけです。これは言い換えれば、「音楽のメロディーに対する操作をデータベースに蓄積していくと、音楽を再利用することができ … [もっと読む...] about AIと音楽を組み合わせ、音楽制作をデータベース化する〜浜中雅俊・理化学研究所 革新知能統合研究センター チームリーダー
AI/ICT/Robotics
ブレイン・マシン・インターフェースで脳の力を引き出す〜牛場潤一・慶應義塾大学理工学部准教授
脳血管疾患では、罹患後に生じる運動や高次機能障害の予後不良性、そしてその結果として増す介護負担など、長期にわたるさまざまな課題が問題視されている。こうしたなか、脳に残された回路を呼び覚まし、病気やけがで失った神経機能を回復させる研究が注目を集めている。BMI(ブレイン・マシン・インターフェース)と呼ばれるこの装置の開発研究に取り組んでいるのが、慶應義塾大学理工学部 … [もっと読む...] about ブレイン・マシン・インターフェースで脳の力を引き出す〜牛場潤一・慶應義塾大学理工学部准教授
CRISPR-Cas9の立体構造をもとに、ゲノム編集をさらなる高みへと導く〜西増弘志・東京大学大学院 理学系研究科 准教授
生命の設計図であるゲノム情報を書き換える「ゲノム編集」という言葉がにわかに注目されている。2013年に報告されたCRISPR-Cas9を用いたゲノム編集技術はさまざまな分野に技術革新をもたらした。DNAを切断するハサミ役であるCas9タンパク質、ガイドRNA、ターゲットDNAからなる複合体の結晶構造を世界にさきがけて解明し注目を集めているのが、東京大学 大学院理学系研究科 西増弘志 … [もっと読む...] about CRISPR-Cas9の立体構造をもとに、ゲノム編集をさらなる高みへと導く〜西増弘志・東京大学大学院 理学系研究科 准教授
地球規模で河川の流れを予測し、災害を防ぐ〜山崎 大・東京大学生産技術研究所准教授
大規模河川の洪水や氾濫による大災害を防ぐには、事前の流況予測が必要である。しかしながら、これら大陸スケールの河川における「水の動き」を正確に把握することは、複雑な要因が関連するため、非常に難しいとされている。そうしたなか、最新の高解像度衛星観測データを活用して、複雑な氾濫原浸水プロセスを効率よくモデル化しているのが、東京大学 生産技術研究所の山崎 … [もっと読む...] about 地球規模で河川の流れを予測し、災害を防ぐ〜山崎 大・東京大学生産技術研究所准教授
航空宇宙工学の観点から、空気力学の可能性を追求する〜北村 圭一・横浜国立大学 大学院准教授
ロケットやドローンなど、空気力学をもとにした設計・シミュレーションの研究ニーズが年々高まっている。こうした中、航空宇宙工学を軸として、空気力学を中心とする様々な流体現象を研究しているのが、横浜国立大学 大学院工学研究院 システムの創生部門(理工学府 機械・材料・海洋工学系専攻 航空宇宙工学教育分野,機械工学教育分野 併任)(理工学部 機械・材料・海洋系学科 機械工学教育プログラム 併任)の北村 … [もっと読む...] about 航空宇宙工学の観点から、空気力学の可能性を追求する〜北村 圭一・横浜国立大学 大学院准教授
教育データ科学で教育現場のニーズに応える〜緒方広明・京都大学学術情報メディアセンター教授
教育現場へのICT活用が注目されるなか、実際に行政と大学、民間企業が連携した取り組みを実践しているのが京都市である。京都市の教育委員会がメインになっているプロジェクト「未来型教育 京都モデル実証事業」は「個」に着目した教育をめざし、現場から取得したさまざまなデータを分析・活用している。この「教育データ科学」の分野で研究を進めているのが、学術情報メディアセンターの緒方 … [もっと読む...] about 教育データ科学で教育現場のニーズに応える〜緒方広明・京都大学学術情報メディアセンター教授
人間とコンピュータの最適な関係を実現する〜矢谷浩司・東京大学准教授
近年、人間の生活にかかわる様々な最新技術が登場している。これら最新技術の実用化と普及には、人間の利用実態を徹底的に理解したうえで応用していくことが必要である。こうした中、「ヒューマン・コンピュータ・インタラクション」「ユビキタスコンピューティング」をキーワードに、新しい情報技術やシステムの開発と評価を行なっているのが、東京大学大学院工学系研究科電気系工学専攻(工学部電子情報工学科)の矢谷 浩司 准教授だ。人間の動作や行動を理解するセンシング技術、携帯電話での新しいアプリやインタフェース、視覚が不自由なユーザ向けのインタフェースなど幅広いテーマを扱う同研究室の理念について、お話を伺った。 技術が普及する橋渡しを考える Q:まずは、研究の社会的ニーズについて教えてください。 情報科学の分野で研究をしています。近年は人工知能や IoT … [もっと読む...] about 人間とコンピュータの最適な関係を実現する〜矢谷浩司・東京大学准教授
サイバー攻撃の観測により、最先端のセキュリティを追求する〜吉岡 克成・横浜国立大学大学院 准教授
近年、安価なIoTデバイスの普及により、セキュリティ水準の低い「弱い機器」が悪質なネットワーク攻撃の標的になるという事態が起きている。そこで、「IoT機器×サイバーセキュリティ」を一つの研究テーマとし、サイバー攻撃の中身を深く理解するとともにその対策を考案しているのが、横浜国立大学大学院 環境情報研究院の吉岡 … [もっと読む...] about サイバー攻撃の観測により、最先端のセキュリティを追求する〜吉岡 克成・横浜国立大学大学院 准教授
世界最高水準の量子コンピューティングで、新たな発見を生み出す〜山本直樹・慶應義塾大学理工学部 物理情報工学科 准教授
近年注目されている量子コンピュータは、量子力学に基づく並列計算の仕組みをベースとしており、大規模な計算を短時間で解決することが期待されている。しかしながら、劇的な計算時間短縮を達成する理想的な量子コンピュータを実現するためには、まだまだ乗り越えなければいけない課題が多い。いっぽう、すでに実用化できるレベルの量子コンピュータで解決できる社会課題に取り組むという方向性も生まれている。この方向性の典型が、IBMが推進する「IBM Q Network」プロジェクト。このアジア地域ハブの責任者を務めるのが、慶應義塾大学理工学部物理情報工学科の山本 … [もっと読む...] about 世界最高水準の量子コンピューティングで、新たな発見を生み出す〜山本直樹・慶應義塾大学理工学部 物理情報工学科 准教授
光スイッチで、次世代のネットワーク技術を創出する〜並木周・産業技術総合研究所 電子光技術研究部門 副研究部門長
我々の暮らしを支えるネットワーク通信技術は、年々増加するデータ量によって圧迫されつつある。デバイスや光回線の進歩が鈍化し、データ量の増大をカバーしきれなくなることが予測されており、対策が急がれている。こうしたなか、従来の通信の仕組みにとらわれないまったく新しい情報通信技術のアーキテクチャを構想し、長い年月をかけて実用化を進めているのが、産業技術総合研究所の並木周氏。副研究部門長を務める並木周氏に、今後の実現を目指す光ネットワーク仮想化の基本構想について伺った。 処理限界を迎えるネットワークの課題を、仮想化で解決する Q:まずは、研究の社会的背景とニーズについて教えてください。 情報は世界中でネットワーク上、あるいはクラウド上で処理され、伝達されています。情報量が多い時では年率200%、最近ではちょっと落ち着いて30%程度のところもあれば、クラウドデー … [もっと読む...] about 光スイッチで、次世代のネットワーク技術を創出する〜並木周・産業技術総合研究所 電子光技術研究部門 副研究部門長