近年、人間の生活にかかわる様々な最新技術が登場している。これら最新技術の実用化と普及には、人間の利用実態を徹底的に理解したうえで応用していくことが必要である。こうした中、「ヒューマン・コンピュータ・インタラクション」「ユビキタスコンピューティング」をキーワードに、新しい情報技術やシステムの開発と評価を行なっているのが、東京大学大学院工学系研究科電気系工学専攻(工学部電子情報工学科)の矢谷 浩司 准教授だ。人間の動作や行動を理解するセンシング技術、携帯電話での新しいアプリやインタフェース、視覚が不自由なユーザ向けのインタフェースなど幅広いテーマを扱う同研究室の理念について、お話を伺った。 技術が普及する橋渡しを考える Q:まずは、研究の社会的ニーズについて教えてください。 情報科学の分野で研究をしています。近年は人工知能や IoT … [もっと読む...] about 人間とコンピュータの最適な関係を実現する〜矢谷浩司・東京大学准教授
AI/ICT/Robotics
サイバー攻撃の観測により、最先端のセキュリティを追求する〜吉岡 克成・横浜国立大学大学院 准教授
近年、安価なIoTデバイスの普及により、セキュリティ水準の低い「弱い機器」が悪質なネットワーク攻撃の標的になるという事態が起きている。そこで、「IoT機器×サイバーセキュリティ」を一つの研究テーマとし、サイバー攻撃の中身を深く理解するとともにその対策を考案しているのが、横浜国立大学大学院 環境情報研究院の吉岡 … [もっと読む...] about サイバー攻撃の観測により、最先端のセキュリティを追求する〜吉岡 克成・横浜国立大学大学院 准教授
世界最高水準の量子コンピューティングで、新たな発見を生み出す〜山本直樹・慶應義塾大学理工学部 物理情報工学科 准教授
近年注目されている量子コンピュータは、量子力学に基づく並列計算の仕組みをベースとしており、大規模な計算を短時間で解決することが期待されている。しかしながら、劇的な計算時間短縮を達成する理想的な量子コンピュータを実現するためには、まだまだ乗り越えなければいけない課題が多い。いっぽう、すでに実用化できるレベルの量子コンピュータで解決できる社会課題に取り組むという方向性も生まれている。この方向性の典型が、IBMが推進する「IBM Q Network」プロジェクト。このアジア地域ハブの責任者を務めるのが、慶應義塾大学理工学部物理情報工学科の山本 … [もっと読む...] about 世界最高水準の量子コンピューティングで、新たな発見を生み出す〜山本直樹・慶應義塾大学理工学部 物理情報工学科 准教授
光スイッチで、次世代のネットワーク技術を創出する〜並木周・産業技術総合研究所 電子光技術研究部門 副研究部門長
我々の暮らしを支えるネットワーク通信技術は、年々増加するデータ量によって圧迫されつつある。デバイスや光回線の進歩が鈍化し、データ量の増大をカバーしきれなくなることが予測されており、対策が急がれている。こうしたなか、従来の通信の仕組みにとらわれないまったく新しい情報通信技術のアーキテクチャを構想し、長い年月をかけて実用化を進めているのが、産業技術総合研究所の並木周氏。副研究部門長を務める並木周氏に、今後の実現を目指す光ネットワーク仮想化の基本構想について伺った。 処理限界を迎えるネットワークの課題を、仮想化で解決する Q:まずは、研究の社会的背景とニーズについて教えてください。 情報は世界中でネットワーク上、あるいはクラウド上で処理され、伝達されています。情報量が多い時では年率200%、最近ではちょっと落ち着いて30%程度のところもあれば、クラウドデー … [もっと読む...] about 光スイッチで、次世代のネットワーク技術を創出する〜並木周・産業技術総合研究所 電子光技術研究部門 副研究部門長
試作コインランドリの運営を通じて、企業のイノベーションを推進する〜戸津 健太郎・東北大学マイクロシステム融合研究開発センター准教授
半導体、MEMS (Micro Electro Mechanical Systems)、光関連等のデバイスに関連する一連のものづくりにおいては、一企業が自前で生産設備を持つことが難しい。クリーンルーム、加工装置を中心とする専門的な設備を取り揃えるだけではなく、技術支援・開発・人材育成の体制も整え、広く利用者に門戸を開放しているのが、東北大学 西澤潤一記念研究センターにあるマイクロシステム融合研究開発センターに設立された、「試作コインランドリ」だ。企業のニーズに応えることで、年々利用者も増えている同施設で運営責任者を務めるのが、東北大学マイクロシステム融合研究開発センター准教授の戸津 … [もっと読む...] about 試作コインランドリの運営を通じて、企業のイノベーションを推進する〜戸津 健太郎・東北大学マイクロシステム融合研究開発センター准教授
最新の気象モデルで、都市気候を解き明かす〜日下 博幸・筑波大学計算科学研究センター教授
異常気象や温暖化が社会問題として叫ばれるなか、東京や名古屋など都市近辺の気候研究の必要性が高まっている。世界最大のユーザ数を誇る「WRF」モデルや筑波大学が中心となって開発した世界最新の「City-LES」を用いて、都市気候を中心とした気候や気象の研究に取り組んでいるのが、筑波大学計算科学研究センターの日下 … [もっと読む...] about 最新の気象モデルで、都市気候を解き明かす〜日下 博幸・筑波大学計算科学研究センター教授
ネズミ形ロボットの研究で、人間とロボットの未来像を描く〜石井裕之・早稲田大学創造理工学部 准教授
「ロボットのいる暮らし」が年々現実味を帯びており、家庭でロボットとコミュニケーションをとりながら生活していくことが技術的に可能になりつつある。家庭用ロボットに社会的に理解が高まる中、人間を支援するロボットの開発に取り組んでいるのが、早稲田大学総合機械工学科創造理工学部の石井裕之准教授だ。学習心理学を応用し、ネズミと小型ロボットとの関係を観察する実証実験を重視しながら、単に共に過ごすだけではなく生物に行動の変容を促す機械システムの開発に取り組む石井准教授に、ロボットのある未来の実現に向けたビジョンを伺った。 行動心理学の知見をベースに、ロボットの行動を設計 Q:まずは、研究の概要についてお聞かせください。 もともと、ネズミを使った心の研究は動物心理学の中ですごく昔から行なわれているものです。大体20世紀の初頭くらいからネズミを使った研究は行なわれて … [もっと読む...] about ネズミ形ロボットの研究で、人間とロボットの未来像を描く〜石井裕之・早稲田大学創造理工学部 准教授
自然言語処理の技術で、医療現場の課題を解決する〜荒牧英治・奈良先端科学技術大学院大学特任准教授
「病院での診断をできるだけ自動化したい」と、医療分野におけるAIの活用が望まれている。こうしたなか、自然言語処理の技術を用いて認知症の診断技術の開発に取り組んでいるのが、奈良先端科学技術大学院大学の荒牧英治特任准教授だ。認知症の判定には、一人の患者を長期間にわたって深く観察することや、正確な計器などさまざまな条件が必要になってくる。「情報技術は一定の確率で失敗が起こるため、それをカバーするために2つの解決方法がある」と語る荒牧特任准教授に、技術的な観点から産業応用に必要な条件を伺った。 自然言語処理技術を医療に応用 Q:研究の概要についてお聞かせください。 … [もっと読む...] about 自然言語処理の技術で、医療現場の課題を解決する〜荒牧英治・奈良先端科学技術大学院大学特任准教授
グラフ理論と理論計算機科学を駆使し、アルゴリズムを高速化する~河原林 健一・国立情報学研究所教授
ビッグデータが世の中にあふれるなか、膨大なサイズのグラフについては、現行のアルゴリズムでは実用的な速度で情報を解析することが不可能である。こうして高速アルゴリズムの開発が求められるなか、課題を解決する高速アルゴリズムの開発やデータクリーニングによる計算量減少に取り組んでいるのが、国立情報学研究所の河原林 健一教授だ。モデル化、アルゴリズム、実装の全工程がわかる人材育成が急務だと語る河原林教授に、現状の問題意識について話を伺った。 グラフ理論と計算機科学の両面から、ビッグデータに向き合う Q: … [もっと読む...] about グラフ理論と理論計算機科学を駆使し、アルゴリズムを高速化する~河原林 健一・国立情報学研究所教授
膨大なデータから気候変動の法則を見つけだし、的確に予測する~小坂 優・東京大学先端科学技術研究センター准教授
世界のある地域で起こった気候現象が遠く離れた国の天候を左右することがある。それは異常気象の予測に利用できる可能性がある。たとえばエルニーニョ現象は、一度発生すると1 年ほど続き、世界中に異常気象をもたらす。日本も例外ではなく、エルニーニョ現象が起こると、冬は暖冬に、その次の夏は冷夏になりやすいといわれている。これらの相関関係が解明され、また予測することができれば、あらかじめ適切な対策が打てるようになる。こうした中、世界中の膨大な気象観測データを蓄積・解析し、法則化をめざしているのが、東京大学先端科学技術研究センターの小坂 優准教授だ。今回は気候変動の種類、気候変動におけるデータ分析の基本的な考え方、アジア地域特有の研究課題などについて伺った。 気候観測データを解析し、シミュレートする Q: … [もっと読む...] about 膨大なデータから気候変動の法則を見つけだし、的確に予測する~小坂 優・東京大学先端科学技術研究センター准教授