自然の乱開発によるサンゴの減少が社会問題となり、法規制は年々厳しさを増している。こうした中、サンゴの専門家として沖縄県の海岸をベースに研究を進めているのが、沖縄科学技術大学院大学(OIST)の中島 祐一博士だ。個体群間の遺伝的な繋がりを調べることで、これまでの長い歴史の中でサンゴの個体群がどのように形成されてきたのかを明らかにしている。学問的な視点と自然の保全的な視点の両方から、サンゴ保全の考えについて伺った。
サンゴの遺伝的なつながりを研究
Q:研究内容についてお聞かせください。
主にサンゴや深海生物の個体群の遺伝的な繋がりを調べています。
まずお話したいのが、個体群の概念。これは少し難しいのですが、簡単に言うとある個体の集まりがその場所の中で形成しているものです。
サンゴに関してはよく水族館で見かける石のかたまりのような状態を群体と呼んでいますが、群体が複数合わさったものが個体群です。沖縄トラフには熱水鉱床があり、深さ1000mくらいの所に生物群集があります。熱水鉱床とは海の中で熱水が吹き上がっている場所のことで、その周りにはエビ、カニ、貝などの様々な生物が集まって個体群を形成しています。
先ほど、遺伝的な繋がりについて調べていると言いましたが、正確に言うと個体群間の遺伝的な繋がりについてです。「個体群が、これまでの長い歴史の中でどのように形成してきたのか」を調べています。
個体群はある時突然できるものではありません。ある場所に少しずつ個体が進出してそこで個体を形成していき、何らかの影響で個体群が消失したり、復活したりを繰り返しながら今の生態系を維持しています。どのようにしてそれが維持されているのか、もしもある個体群が死滅してしまったらどうなってしまうのかを予想する研究もしています。これを、基礎的な部分と保全的な部分の両方を研究で行なっています。
サンゴは結構複雑な生き物で、種類によっても特性が違ってきます。沖縄近海で一番よく目にするのは、ミドリイシサンゴですね。このサンゴは見た目だけでは種類を見分けるのが難しく、形は似ていても別の種類のものだったり、反対に形は違うけれど同じ種類だったりもします。ミドリイシというのは一つの属と数えられ、沖縄ですと80属ほどいます。中でもミドリイシは代表的だと言えますが、他にもハナヤサイサンゴやハマサンゴなどもいます。
環境の変化に強いものや弱いものなど種類によってそれぞれ特性がありますので、研究では種類別の遺伝的な違いを見ています。ミドリイシの場合はストレスに弱い部分もありますが、死んだ後に回復しやすい面もあります。これは死んだものがまた復活するという意味ではなく、どこかからサンゴの赤ちゃんである幼生が来て、それが定着して大きくなっていくことです。
沖縄本島の多くの場所は琉球石灰岩でできていますから、海底もサンゴでできているような形です。そこにサンゴの幼生がくっついていくわけです。それがマングローブ林などの砂泥だと、幼生はくっつきにくくなってしまうので、ある意味沖縄本島の周辺はサンゴの幼生が定着しやすい状態だといえます。
ただ最近の環境のかく乱や、温暖化だけでなくローカルな陸地の開発などで赤土が海の中に流入してしまうと、どうしてもサンゴの幼生のくっつきが悪くなってしまったり、光合成ができなくなって死んでしまうこともあります。
サンゴは動物ですが、実は体の中に褐虫藻という藻類を持っていて共生しています。つまり昼は光合成をして栄養を取り込み、夜は光合成をせず動物プランクトンを食べて生活しているのです。赤土の他にもオニヒトデなどサンゴを食べてしまう動物もいますから、これが大発生してしまうのもサンゴにとっては良くないことですね。先ほど1000mくらいの深さとお話ししましたが、深海の生物に関しては海洋研究開発機構との共同研究で、実際には潜らずに船とROVという生物採取可能な遠隔操作型のロボットを使っています。
Q:現在、どのような研究体制をとっていらっしゃいますか?
私の研究室を主宰しているのは、御手洗哲司准教授です。御手洗准教授は物理側の先生ですので、海水の流れや深海の熱水鉱床間の繋がりを研究しています。その繋がりによって、幼生の分散の確率も高まります。
距離が近ければ近いほど、幼生分散の確率が高くなりますし、反対に遠ければ遠いほど確率は低くなります。幼生分散がなければ種類が違うかもしれませんし、過去には同じ種類であったけれどもそれ以降の幼生移動による個体群の繋がりがなく、別の種類として分化するとも言えます。反対に近ければ幼生分散などで個体群が維持されていて、もし個体群が死滅したとしてもどこからか幼生が来て復活するのではないかという仮説も立てられます。
熱水鉱床は最近の海洋研究開発機構の努力によって沖縄トラフの中に幾つか点在していることがわかっています。沖縄トラフは、琉球列島の北にある1000mほどの深さの海底盆地のことです。
私の研究ではまだ論文にはなっていませんが、貝の個体群で場所によって遺伝的に多少違うのですね。けれども、遺伝子を調べてみると若干の関連性があるので、過去に飛び石状で幼生が入ってきて個体群を形成しているのではないかというのが一つ言えます。
ただ、遺伝的なデータは長いタイムスケールで見るものです。個体群の遺伝的構成は通常一世代や二世代で変わるものではないですし、私は現在のタイムスケールでも見たいので、物理側のデータと合わせてみようかなと思っています。そのため遺伝のほうで長いタイムスケール、そしてシミュレーションモデルで短いタイムスケールと両方を合わせて考えれば面白いのではないかと思います。
Q:このような研究の方法は以前からあったものですか?
私がやっている集団遺伝の分野は、比較的従来からあるものだと思います。ただ1990年代より前にはDNAの技術はあまり発達していませんでしたので、生物の見た目やタンパク質のバリエーションで違いを見分けていました。最近では技術が発達してきたので、DNAで見分けることができます。
そのため研究方法としてはオリジナリティーが高いものではなく、複数の大学や研究機関で行なわれています。 また私はサンゴでも集団遺伝の研究をしてきましたが、この分野はオーストラリアのグループが精力的に活動しています。しかし、遺伝的な側面からの研究が多く、なかなか物理側とのコミュニケーションはありませんでした。その部分ではオリジナリティーは高いといえるかもしれません。
深海のほうでは形にすることができて発表もできていますが、サンゴ礁は広いためシミュレーションモデルを作ることがどうしても難しく、まだ発表までできていません。逆に深海の生物に関しては熱水鉱床が点在しているので、モデルを作るのがサンゴほど難しくないそうです。
Q:現時点で実現できていること、逆に時間がかかっているところはありますか?
やはりサンゴは難しいですね。先ほどもお話しましたが、サンゴは同じ種類でも見た目の形が違ったり、別の種類のものでも同じような形をしていることがあるので、種類の見分けがすごく難しいものです。1種類だと思って採ってきたサンゴも、調べてみると3種類に分かれていたこともあります。そうなると1種類あたりのサンプル数を増やすためにまた採り直しになってしまうわけです。
まずは種類分けをして、そこからさらに遺伝的な違いを見ていかなければなりませんので、2段階のステップが必要になります。私は個体群間でどのくらい遺伝的な繋がりがあるかを見てきましたが、逆に一種ではなく別の種類が入ってくると集団遺伝学だけではなくて分類学のほうにも新たな知見を提供できるかなと考えています。
やはりサンゴの保全は、種類を見分け多様性も見ていかなくてはなりません。しかし今まで見ただけで一種類と思っていたものが実は遺伝的に違っていて、環境変化に対する耐性や繁殖などの特徴が種類間で異なっている可能性もあります。そうなると種類を別に考えてそれぞれの保全をしなければならず、今後はそちらのほうも精力的にやっていかなければならないと感じています。
Q:これまでのご経歴をお願いします。
2000年に埼玉大学理学部分子生物学科に入学して、その時はずっと分子生物学を行なっていました。卒業研究は大腸菌の遺伝子のプロモーター領域の研究でした。
2004年に東京農工大学大学院に入り、蚕の免疫について研究していました。その後卒業して、2006年に琉球大学大学院理工学研究科に入って、サンゴの遺伝的な繋がりの研究を始めました。さらにそこから1年間、琉球大学熱帯生物圏研究センター瀬底研究施設で研究員を行なった後、2010年からは東京大学アジア生物資源環境研究センターで海草の研究をしていました。その時も今と同じように遺伝的な繋がりの研究を沖縄やフィリピン、中国などを対象に行なっていました。
沖縄科学技術大学院大学(OIST)には2013年から入って、深海とサンゴ礁の両方で今のような研究を続けています。これといったきっかけはあまりなかったのですが、やるなら生物学や遺伝学だけでなく生化学や物理学など様々なことを研究できる分野に進みたいと思っていました。
OISTは外国人の比率も多いので、公用語は英語になっています。他の分野との共同開発については、以前同じ研究ユニットに在籍していた藤村篤・元研究員が今グアムの大学で助教をしておりまして、今後は彼と共同研究をすることになっています。藤村助教は水槽に流れを起こして生物を飼育、観測する専門家で、生物と物理の研究者です。
私はどちらかというと物理にはそこまで詳しくありませんので、今後は藤村助教と良いコラボレーションができたらいいなと考えています。研究は毎日朝から行なっていますが、日によって違うときもあります。OISTのマリン・サイエンス・ステーションという臨海実験施設でサンゴの飼育をしていますが、大体サンゴの産卵は夜の10時ごろと遅いので、夜間に実験施設に通いつめることもあります。種類によっても違いますが、基本的には夜の産卵が多いです。
よくサンゴの一斉産卵などと言われているのは、夜の10時頃ですね。これまでの研究によると、どうやら光を感じとって産卵しているようです。これも種類によって違いますが、月の影響があるようです。
サンゴの保全
Q:学者側から見てサンゴの保全は進んでいますか?
サンゴの保全については様々な意見がありますが、もちろん精力的に進めている所もあります。養殖で増やしたり、赤土防止ネットなどを敷いて赤土が海に出ないようにして、サンゴの住む場所を失わせないようにする対策などもしています。
最近のトピックですと沖縄の慶良間諸島が2014年に国立公園に指定されまして、ほぼ全域が公園になっています。しかも陸だけでなく海も含まれているのです。これは慶良間諸島の陸域の生態系を守るだけでなく、海の生態系にも重点を置いているからではないかと考えられています。ですから、その辺りのサンゴや、サンゴ礁に生息する生物を保全しようという動きが高まっているのは研究者側からもよくわかります。
ただ、サンゴの保全に科学的知見がすごく活かされているかとなると、必ずしもそうではないというのが正直な所ですね。特にサンゴを折って増やせば良いという養殖の考え方もありますが、実際にサンゴが折れて増えるかどうかは種類によっても違ってきます。折って増やして良いものと悪いものが出てきますし、移植したときに成功率が高いものと低いものもあると思います。そうなると移植を行なった時に特定の種類だけが増えてしまうので、本来の生態系の再生は難しいのではないかなと思います。
やはり、移植だけでは限界がありますし、サンゴが減っているとは言ってもサンゴ礁は広大ですから、移植をするだけでは自然再生には間に合わないだろうと言えます。一気に白化してサンゴが死んでしまったら移植したものが台無しになってしまいますし、結局自然の力には勝てない部分があるわけです。パリ協定のように地球レベルの取り組みをしていかなければ、サンゴの保全にはなかなか結びつかないのではないかなと感じています。
また2000年以降はNPOがサンゴの保全に積極的に取り組んでいる印象があります。私は日本サンゴ礁学会に入会していますが、発表などを聞いていると保全にかかわる人が増えてきた感じがします。今までは研究側の人たちが多かったのですが、最近は保全を意識した発表や保全に関する研究が増えてきているように思います。サンゴ礁学会には研究分野も地域も様々な人がいて、中には高知県や和歌山県で研究を行なっている研究者もいます。サンゴは沖縄やフィリピン、インドネシアなど熱帯の生物と考えられることが多いのですが、実は温帯域にもサンゴはいます。
実は温帯域のサンゴは沖縄のものとはまた別の種類が多く、最近は温暖化の影響で熱帯のサンゴの分布域が拡大していると言われています。温帯域のサンゴもどんどん北に上がってくる可能性もありますが、温帯域のサンゴは、熱帯のサンゴよりも分布域が狭いので、もしかするとかなり弱いというか、最近の環境撹乱によって大幅に個体群が死滅してしまう可能性もあるかもしれません。やはり急激に環境が撹乱されるとどうしても適応ができずに死んでしまう可能性も考えられるので、温帯域のサンゴも重要な保全対象の一つかなと考えています。
Q:研究は、海外のほうが進んでいるのでしょうか?
オーストラリアにはグレートバリアリーフがあって、「世界最大のサンゴ礁」と言われています。それもあってオーストラリア政府は保全を重要視しているようです。沖縄とオーストラリア以外にも最近では様々な国の大学がサンゴの研究をしていて、台湾や中国、イスラエル、サウジアラビア、あとはタイやフィリピンにもサンゴの研究をしているグループがありますね。様々な大学が研究をしているような状態です。
日本もオーストラリアも石灰岩ですが、その成り立ちに違いがあります。オーストラリアのグレートバリアリーフのサンゴ礁は連続的なものですが、琉球列島は島が点在しているのでサンゴ礁も点在しています。ですからサンゴの個体群の成り立ちも違うのでは、と言えそうですね。オーストラリアで得られたデータや保全の情報が沖縄にも使えるかとなると、それはまた別の話になってきます。やはり地域ごとに考えていかなければならない問題であると考えています。
Q:この分野を志してから今に至るまでの経緯をお話しください。
大学院の博士課程に入った時に、初めてサンゴの研究を始めました。その時から今のテーマとさほど変わらず、海洋生物の集団遺伝学について研究してきました。大学院は琉球大学で、種類は違うものの今と同じような方法で個体群の遺伝的な繋がりを見ていました。大学の卒業研究と大学院の修士課程の時には分子生物学をずっとやっていました。
今後、まだ解明されていないような場所、深海なら熱水鉱床を詳しく調べていく必要があると思っています。私はその遺伝的な繋がりを調べていましたが、やはり本来調べるべき場所が入っていないとどうしてもデータに欠損が出てしまうこともあるので、もう少し包括的に様々な場所からサンプルを取ってこなければならないと思いますね。
観光と環境の両方を保全する
Q:産業的な面について課題に感じていることはありますか?
昨年の沖縄の観光客数が800万人以上、さらにその中で中国や韓国など海外からも観光客が来ていて、沖縄県としては今後も観光客を増やしていこうというスタンスです。ではその観光客が何を見に行きたいのかと考えると、もちろん沖縄の文化に触れたいというのもありますが、やはり海を見たいというのも重要なモチベーションの一つであると言えます。そうなると、サンゴ礁の保全も一つのテーマかなと思っています。
もしサンゴ礁がこのままのペースで衰退してしまうと、沖縄の観光資源としての価値も失われてしまいます。ですから観光と環境保全の両方が必要なのではないかなと思っています。
また保全=サンゴと思われがちですが、保全するのはサンゴだけではなく海草もあります。この海草というものもサンゴと同じように沿岸の海域に生息しています。沿岸域は他にも、マングローブ林、干潟などもありバリエーションに富んでいます。そのため、サンゴの保全をしなければならないから沖縄県でサンゴを増やせばいいというのではなくて、生態系間のバランスもきちんと考えた上で保全をしていくことが重要だと思っています。
Q:研究を進めるうえで、やりたくてもできないことはありますか?
サンゴの採取許可については制限が大きいです。サンゴを採取したいとき、毎回各自治体に申請をしてサンゴを採るための許可をもらっています。本来、もっと調べなければならない国立公園などのサンプル採取も難しくなっているのがひとつのネックですね。もちろん許可は取れますが、どうしても時間がかかってしまいます。
昨年行った慶良間の国立公園でも、許可がおりるまですごく厳しかったです。1回事前調査に行って、どんな種類の生物がいるか、どんな地形になっているかなどを報告書で提出しなくてはならず、かなりの時間がかかってしまいました。このような部分がもう少し楽になると研究が進むかなと思います。かといって、あまりにも簡単に許可を出してしまっても、それはそれで問題になってしまうのでバランスが難しい所でもありますね。
Q:この分野に興味のある学生に伝えたいことはありますか?
サンゴ礁の保全ですので、当然サンゴに興味のある学生が来るとは思いますが、先ほどもお話ししたようにサンゴ礁はサンゴだけでできているものではありません。
サンゴ礁魚類だったり、サンゴの枝の中にカニが住んでいたり、肉眼で見えない所まで行くと褐虫藻やバクテリア、動物プランクトンもいるわけです。そのため、サンゴ礁を研究したい=サンゴを研究したいではなくて、もっと包括的に物事を見ていくことが必要かなと思います。
対象の生物が好きという動機ももちろん必要ですが、どのような生命現象を理解したいかも重要ですね。そうなるとある一つの種類だけではなくて、あまり種類にはこだわらずに何を解明したいのかをモチベーションにして研究に取り組んでもらえたらと思います。
生態学や分子生物学、遺伝学あたりを学んでおくのも良いかもしれません。最近はDNAシーケンサーの発達などにより機器は充実してきていますので、そういった機器を扱えたりあとはDNAの先のタンパク質やエピジェネティクスなどの分野にも精通していると研究がやりやすいのではないかなと思います。
森林を対象とした研究は結構進んでいますが、海となると研究している人数も少ないしサンプルも採りにくい、研究の場所が限られているなどあまり研究は進んでいない印象があります。ですから技術を持っていて海のことを調べたいという学生に来てもらえると、もっとこの分野が発展するのではないかと思っています。
Q:企業や自治体に期待することはありますか?
サンゴを採ってはいけないとか、赤土の流出防止などの法律規制がありますが、コンプライアンスをきちんと守ってもらえればという気持ちはありますね。自治体に関してもやはり国立公園などを制定する時ももう少し科学的な知見を盛り込んでもらえたら嬉しいですね。
最近では沖縄本島の北部が、やんばる国立公園に指定されたのですが、国立公園は今後も増えていく可能性が高いと思いますので、やはりその辺でもう少し「こういう種類がいるから守る」という考えも重要ですが「こういう特徴や遺伝的背景を持つ種類がいるから」というような保全策が今後は重要になってくるかなと思います。
Q:次の目標は何でしょうか?
2016年、OISTのメインキャンパスから8kmほどのところにある恩納村瀬良垣という場所にマリン・サイエンス・ステーションという臨海実験場ができ、水槽を使った実験ができるようになりました。私は今まで野外からサンプルを採ってきて遺伝的なサンゴの違いを見てきましたが、それだと結局サンゴの幼生が育つまでのプロセスは全く見えません。ですからそれを見るために、今後はマリン・サイエンス・ステーションでの水槽飼育を通してサンゴの飼育実験ができればいいなと思っています。
例えば水槽の中で水流を変えたり飼育条件を変えたりして、サンゴの生理学的な反応や遺伝子発現を見て、どんな条件であればサンゴは健全に育つか、そんな研究ができればなと考えています。(了)
中島 祐一
なかじま・ゆういち
沖縄科学技術大学院大学 研究員。
2000年、埼玉大学理学部分子生物学科に入学、分子生物学を研究する。卒業研究のテーマは「大腸菌の遺伝子のプロモーター領域の研究」。2004年に東京農工大学大学院に進学、蚕の免疫について研究を進める。卒業後、2006年に琉球大学大学院理工学研究科に進学、サンゴの研究をスタート。琉球大学熱帯生物圏研究センター瀬底研究施設で研究員を務めたのち、2010年からは東京大学アジア生物資源環境研究センターにて海草の研究に従事。2013年、沖縄科学技術大学院大学(OIST)に加わり、深海とサンゴ礁の両方の研究を続ける。