次世代の通信ネットワークを実現するために、量子通信の可能性に期待が高まっている。盗聴や不正アクセスを未然にブロックするというニーズが高まっているのに対し、中継技術的には100キロをこえる中距離であれば一度中継しなければならないという制約がある。こうした課題とニーズをとらえ、ブレイクスルーを目指しているのが小坂教授だ。今回は通信技術の近年の進歩と今後の研究課題について伺った。 長距離かつ中継不要の量子通信を可能にする Q:まずは、研究内容をお話しください。 量子通信について研究しています。量子情報の中には、量子コンピュータという、昨今騒がれているものがありまして、その一方で量子通信というものがあります。量子コンピュータと量子通信は全然違うように見えますが、いわゆる盾と矛の関係になっていて、量子通信をしようとするという目的は元々盗聴を避けたいという … [もっと読む...] about ダイヤモンドで、次世代量子通信の普及をめざす〜小坂英男・横浜国立大学教授
スピントロニクスの応用の可能性を探る〜齊藤英治・東北大学 材料科学高等研究所 主任研究者
スピントロニクスは、2000年代中頃くらいから研究が開始された若い分野であるが、日本はこの分野の研究が非常に盛んに進んでいる。このなかで、スピンの基礎物理法則を解明することで、スピントロニクスを応用し拡大した新たな学問体系を作ろうとしているのが、東北大学 … [もっと読む...] about スピントロニクスの応用の可能性を探る〜齊藤英治・東北大学 材料科学高等研究所 主任研究者
運動学習と脳内シミュレーションの仕組みを、実験と数理モデルにより解明する〜銅谷賢治・沖縄科学技術大学院大学教授
人間が選択肢を考えるとき、脳はどのように動いているのか。その仕組みはまだまだ解明しきれていない。人間や動物が脳内シミュレーションによって、現在や将来の状態を推定する脳の仕組みをニューロンの回路レベルで解明しようとしているのが、沖縄科学技術大学院大学(OIST)の銅谷賢治教授だ。人間の脳活動計測や実験動物のデータを機械学習モデルと組み合わせることで脳の学習や意思決定の仕組みを解明する手法について伺った。 人間の強化学習の仕組みを研究 Q:機械学習というジャンルにおいて、どういった課題のもとで研究を進めていらっしゃいますか? もともと、人間や動物が運動やスポーツで「なぜ、上達するのか」というテーマに興味を持っていました。この運動学習の仕組み、特に、「最初から何をやればいいのか、どういうパターンで動けばいいのかは与えられているわけではないのに、新しい … [もっと読む...] about 運動学習と脳内シミュレーションの仕組みを、実験と数理モデルにより解明する〜銅谷賢治・沖縄科学技術大学院大学教授
「美しい」分子にこだわり、炭素の未知なる可能性を追求する〜伊丹 健一郎・トランスフォーマティブ生命分子研究所 (ITbM)拠点長
カーボンナノチューブ、カーボンナノベルトなどの名称で近年注目されるナノカーボンであるが、現行のものは混合物ゆえ特性が安定せず、まだ万全とはいえないという状況である。この課題を解決すべく、「美しい」分子を標榜し、単一構造の分子をつくりだしてブレイクスルーを起こそうとしているのが、トランスフォーマティブ生命分子研究所 (ITbM)の伊丹健一郎 … [もっと読む...] about 「美しい」分子にこだわり、炭素の未知なる可能性を追求する〜伊丹 健一郎・トランスフォーマティブ生命分子研究所 (ITbM)拠点長
動物におけるリプログラミング現象の解明から、細胞初期化の要素を特定する〜宮本圭・近畿大学講師
ヒト・動物の発生過程においては、数千もの遺伝子が約一日以内に急激に転写され、正常な発生が進行する転写リプログラミングが起こっている。この転写リプログラミングがどのようにして生み出されるのかを解明すべく、次世代シークエンサー等を用いた最新の手法を伝統的な発生生物学の実験系に取り入れているのが、近畿大学の宮本圭講師だ。特定の遺伝子やタンパク質レベルで何が作用し初期化が誘導されているのか。この疑問を解明する、最先端の技術と方法論について伺った。 Q:研究の概要についてお聞かせください。 動物細胞のリプログラミングについて研究しています。リプログラミングは、日本語で言うと初期化を意味します。わかりやすく例えるなら、皆さんの使っているコンピューターにデータがたくさん詰まってしまったら、初期化をしますよね。動物細胞の初期化もこれと同じようなもので、考え方と … [もっと読む...] about 動物におけるリプログラミング現象の解明から、細胞初期化の要素を特定する〜宮本圭・近畿大学講師
個体群間の遺伝的つながりを形成し、サンゴの生態系を明らかにする〜中島祐一・沖縄科学技術大学院大学研究員
自然の乱開発によるサンゴの減少が社会問題となり、法規制は年々厳しさを増している。こうした中、サンゴの専門家として沖縄県の海岸をベースに研究を進めているのが、沖縄科学技術大学院大学(OIST)の中島 … [もっと読む...] about 個体群間の遺伝的つながりを形成し、サンゴの生態系を明らかにする〜中島祐一・沖縄科学技術大学院大学研究員
医学的エビデンスに基づき、産学連携を推進する〜藤田卓仙・慶應義塾大学医学部特任助教
昨今、世の中に溢れる玉石混交の健康情報。科学的裏付けのないものまでが「常識」として扱われ、正しい理解のないまま利用されている現状が問題視されている。これらの課題を解決すべく、法律と医学という2つの分野の架け橋として、医療政策学・医事法学・医療経済学・医療情報学といった複合的な視点から学際的な研究を行なうのが、慶應義塾大学医学部の藤田卓仙特任助教だ。大学のもつリソースを最大限活用し、健康医療情報を科学的に正しく、わかりやすく伝えるための基盤を、医学側から産業界にアプローチしながら進める藤田氏に、いま医療が果たすべき責任と為すべき行動について伺った。 医学的エビデンスに基づいたものを、世の中に普及させる Q:現在の活動について、具体的に教えてください。 慶應大学での研究について現状をまとめると、(1)企業から依頼された産学連携を進めること、(2)研 … [もっと読む...] about 医学的エビデンスに基づき、産学連携を推進する〜藤田卓仙・慶應義塾大学医学部特任助教
熱処理技術で、金属の老朽化を防ぐ〜細井 厚志・早稲田大学 理工学術院 准教授
昨今、老朽化した道路やトンネルなどの社会インフラの修繕が求められている。それらの多くは高度経済成長期の短期間で工事がなされ、その設計寿命が現在になって表面化している、というわけだ。金属の亀裂治癒技術の確立を目指し、破壊や治癒の基礎的な研究から土台を固めているのが、早稲田大学 … [もっと読む...] about 熱処理技術で、金属の老朽化を防ぐ〜細井 厚志・早稲田大学 理工学術院 准教授
スマートポリマー研究で、発展途上国での簡易医療を実用化する〜荏原充宏・物質・材料研究機構 准主任研究者
刺激や熱に応答する、機能的な材料「スマートポリマー」の可能性が注目されている。「これまで治らなかった病気を、素材の力で治す」ことを目指し、医療分野での実用化研究を進めているのが、物質・材料研究機構 … [もっと読む...] about スマートポリマー研究で、発展途上国での簡易医療を実用化する〜荏原充宏・物質・材料研究機構 准主任研究者
有機ELのサイエンスから、次々と常識を打ち破るデバイスの創成へ〜安達 千波矢・九州大学最先端有機光エレクトロニクス研究センター長・主幹教授
テレビやスマートフォン、駅のモニターなど、我々の日常生活にも用いられている「有機EL」の技術。この有機ELの飛躍的な進歩を目指し、「第三世代」の有機EL発光材料の実現に向けて研究を進めているのが、九州大学最先端有機光エレクトロニクス研究センターの安達 … [もっと読む...] about 有機ELのサイエンスから、次々と常識を打ち破るデバイスの創成へ〜安達 千波矢・九州大学最先端有機光エレクトロニクス研究センター長・主幹教授