地球温暖化の原因とされる化石燃料の使用が年々制限されるなか、欧米を中心に注目が高まっているのがバイオプロダクションだ。バイオプロダクションとは燃料に限らず、生活で必要なあらゆるものをバイオ由来のものにすることを目指す大きな潮流であるが、この流れのなか「将来、バイオベース以外のものが禁止される時代が来るかもしれない」と予想するのが、神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科の近藤 昭彦 … [もっと読む...] about バイオベースを実現するために、AIとITを活用する〜近藤 昭彦・神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科長
AI/ICT/Robotics
認知ロボティクスで、多用途で活躍できるロボットを開発する〜尾形哲也・早稲田大学基幹理工学部教授
人間の言葉を正確に理解し、自由自在に動かせるロボットは、人類の長年の夢だ。近年注目されているディープラーニングの技術をロボットに利用することで、そうした「汎用ロボット」の開発に取り組むのが、早稲田大学基幹理工学部の尾形教授。「本来、ロボットは多くの用途に使えるべき」だとする尾形教授に、汎用ロボットの開発と実用化について、現時点での見立てを伺った。 ディープラーニング技術をロボットに適用 Q:現在の研究の概要についてお話しください。 専門は「認知ロボティクス」です。ロボットを使って人間の知能をモデル化したり理解したりしようというところからスタートしています。その研究からさらに発展させて、近年人工知能の分野の中で中心になっているディープラーニングという技術をロボットに利用しようと考えています。 今までロボット単体では難しかった、仕事をさせることや、 … [もっと読む...] about 認知ロボティクスで、多用途で活躍できるロボットを開発する〜尾形哲也・早稲田大学基幹理工学部教授
数理モデル解析で、脳の学習理論を発見する〜豊泉太郎・理化学研究所神経適応理論研究チームチームリーダー
「人はどのようにして学習するのか?」という根本的な問いはこれまで、基本的な原理がなかなか解明されてこなかった。人間の学習の仕組みを解明すべく、数理モデルの解析を通して、脳の情報処理機構および神経回路が環境に対して適応・学習するメカニズムの研究を進めているのが、理化学研究所の豊泉太郎チームリーダーだ。今回は人間の学習の基本となる理論をもとにしながら、脳科学におけるコンピュータシミュレーションの有効性について伺った。 理論的手法により脳を研究 Q:まずは、研究についてお聞かせください。 脳科学を研究しています。脳科学といっても、普通のお医者さんや生物学的なものなどとは違って、基本的に数学や物理のような理論的な手法を使って脳の計算機構を理解する研究をしています。 そのため、アプローチの仕方が他と大きく違っています。実験設備を一切使わない点が特徴です。 … [もっと読む...] about 数理モデル解析で、脳の学習理論を発見する〜豊泉太郎・理化学研究所神経適応理論研究チームチームリーダー
運動学習と脳内シミュレーションの仕組みを、実験と数理モデルにより解明する〜銅谷賢治・沖縄科学技術大学院大学教授
人間が選択肢を考えるとき、脳はどのように動いているのか。その仕組みはまだまだ解明しきれていない。人間や動物が脳内シミュレーションによって、現在や将来の状態を推定する脳の仕組みをニューロンの回路レベルで解明しようとしているのが、沖縄科学技術大学院大学(OIST)の銅谷賢治教授だ。人間の脳活動計測や実験動物のデータを機械学習モデルと組み合わせることで脳の学習や意思決定の仕組みを解明する手法について伺った。 人間の強化学習の仕組みを研究 Q:機械学習というジャンルにおいて、どういった課題のもとで研究を進めていらっしゃいますか? もともと、人間や動物が運動やスポーツで「なぜ、上達するのか」というテーマに興味を持っていました。この運動学習の仕組み、特に、「最初から何をやればいいのか、どういうパターンで動けばいいのかは与えられているわけではないのに、新しい … [もっと読む...] about 運動学習と脳内シミュレーションの仕組みを、実験と数理モデルにより解明する〜銅谷賢治・沖縄科学技術大学院大学教授
脳のモデル化で、科学のプロセスを自動化する〜高橋恒一・理化学研究所チームリーダー
情報技術の発達により、「ヒトの脳のような柔軟な知性を人工的に作り出す」ことが遠い未来の世界とは必ずしも言えなくなった。人工知能を知的労働の自動化システムと見たとき、究極の知的労働とは科学や技術の研究開発そのものに他ならない。このような人工知能の未来を予期しながら開発に取り組むのが、理化学研究所で研究室を主宰する高橋恒一チームリーダーだ。今回は人間の脳と人工知能の進歩、科学が抱えている課題について、その進歩の歴史と高橋氏がとなえる「第五の科学=人工知能駆動型科学」を中心に、いま人類が向かいつつあるゴールについて語っていただいた。 コンピュータ上で、生命をシミュレーションする Q:ご自身の研究の概要についてお聞かせください。 現在、理化学研究所生命システム研究センターで、シミュレーションを中心とした計算システム生物学と、脳型人工知能の開発とその応用 … [もっと読む...] about 脳のモデル化で、科学のプロセスを自動化する〜高橋恒一・理化学研究所チームリーダー
広大なウェブの海から情報を集め、分析する〜武田英明・国立情報学研究所教授
日々増大しつづけるウェブ上の情報。人々がよりウェブを使って社会を豊かにしていくために、情報の整理と活用が求められている。セマンティックウェブと呼ばれる観点からウェブのよりよい可能性を追求するのが、国立情報学研究所の武田教授だ。AI分野一筋であるが、自らも「先がわからない分野」だと述べる武田教授に、次世代のウェブの形について伺った。 セマンティックウェブの分野で、ウェブを分析する Q:研究の中心的な内容についてお聞かせください。 私の専門は、人工知能とウェブ情報学です。自分自身ではウェブ情報学と呼んでいますが、かっこよく言うとウェブにある情報を科学するものだと思っていて、主にこの二つの間を研究しています。詳しく言うとその中間にあるもの、専門用語で言う「セマンティックウェブ」が研究の中心になっています。 元々セマンティックウェブという言葉を言い出し … [もっと読む...] about 広大なウェブの海から情報を集め、分析する〜武田英明・国立情報学研究所教授
スパコン「京」で、ゲリラ豪雨を予測する〜三好建正・理化学研究所チームリーダー
シミュレーションと実際のデータを擦り合わせ、シミュレーションの精度を磨く「データ同化」研究。その進歩によって突発的なゲリラ豪雨を先読みできる日が近づいている。にわかに脚光を浴びるデータサイエンスの分野でデータ同化研究を先導しているのは理化学研究所の三好建正先生だ。革新的な気象レーダーとスーパーコンピュータ「京」の両輪が支えるゲリラ豪雨予測の仕組みとは。社会の変化を捉えうるデータ同化研究について、お話を伺った。 Q:現在のご研究内容について教えてください。 私たちのチームはデータ同化の研究に取り組んでいます。ふだん、「データ同化」という言葉を耳にすることは少ないですよね。ではどういうものかというと、コンピュータを使ったシミュレーションと現実のデータを合わせることを意味しています。これが近年は様々な分野で進んでいるのです。例えば天気予報ではコンピュ … [もっと読む...] about スパコン「京」で、ゲリラ豪雨を予測する〜三好建正・理化学研究所チームリーダー
高速の画像処理技術で、多方面の技術課題を突破する〜石川正俊・東京大学大学院教授
人体の仕組みはいまだ解き明かせぬ謎に溢れているが、その人体の限界を越え、一足飛びに進歩する「高速化」の技術が、我々の世界を席巻しつつある。その領域で、日本のみならず世界の研究においても先頭を独走しているのが東京大学の石川正俊教授だ。我々の目にも止まらぬ高速技術は、社会や生活に何をもたらすのか。高速の視点から得られるビジョンについて、石川教授にお話を伺った。 「高速」があらゆる分野に変革をもたらす Q:現在は画期的なロボットの研究開発に取り組んでいらっしゃるのでしょうか。 現在の研究では、より幅広い応用分野を視野に入れています。ロボットに関する内容は全体の4分の1くらいで、高速のセンサーに基づいてロボットをできる限り高速で動かす研究です。もちろん知能ロボットですが、センサーの性能を上げたことによってロボット全体の性能が上がるのです。特に、ロボット … [もっと読む...] about 高速の画像処理技術で、多方面の技術課題を突破する〜石川正俊・東京大学大学院教授
トップレベルの環境で、国家の10年計画を実現する〜杉山将・革新知能統合研究センター長
産学協同で日本の人工知能研究を振興するための国家プロジェクトが産声を挙げた。2016年4月にはその一端として理化学研究所が「革新知能統合研究センター」、通称AIPセンターを設置。指揮をとるのは東京大学教授でありAIPセンター長を務める杉山教授だ。基礎研究の進展とともに多彩な応用研究へと裾野を広げつつあるAI研究においては、産官学の垣根だけではなく、ときには国境すら越える柔軟な展開が期待される。AI技術と共に生きる社会の実現に向けて、日本はどのように舵をきっていくべきか。杉山教授にお話を伺った。 国を挙げての人工知能研究・開発が始動、国際的な研究機関を目指した枠組み作りへ Q:現在の活動内容について教えてください。 現在はクロスアポイントメントという制度を利用して、AIPセンター長と東京大学の教員の二つを兼務しています。まず、大学の教員としては、 … [もっと読む...] about トップレベルの環境で、国家の10年計画を実現する〜杉山将・革新知能統合研究センター長
インタフェースの発達が、複合現実感をもたらす〜檜山 敦・東京大学先端科学技術研究センター講師
情報世界と現実世界を掛け合わせた複合現実感が、より身近なものとなってきた。特に高齢者の活躍を支援するジェロンテクノロジーを含め、誰もが先端技術を使えるようなヒューマンインタフェースの設計が活発化しつつある。その中心で画期的な研究開発を行なうのが、東京大学先端技術研究センターの講師を務める檜山先生だ。情報世界へと拡張する社会はどんな方向へ進んでゆくのか。高齢者支援やスポーツの分野でも存在感を大きくする情報研究の「今」を伺った。 高齢者が活躍できる世界を、情報・VR技術を使って実現する Q:「複合現実感」とは、どのようなものなのでしょうか。 複合現実感とは、実世界とバーチャルリアリティの作り出す情報世界の二つを融合させた概念のことです。その中には実世界の割合が大きいものからバーチャル世界の領域が大きいものまであり、二つの領域の比率によって名称が異な … [もっと読む...] about インタフェースの発達が、複合現実感をもたらす〜檜山 敦・東京大学先端科学技術研究センター講師