情報のネットワークが「万有引力」のように日常生活に張り巡らされ、私たちの生活を一層豊かにしてくれる。そんな社会像の実現を目指す「万有情報網プロジェクト」が始動している。その中心で研究に取り組むのが東京大学大学院の川原圭博教授だ。今後、IoT技術の進歩に伴い日本社会はどう変わっていくのか。川原教授にその展望を伺った。 万有情報網プロジェクトを推進 Q:現在はどのような研究をされているのですか? 現在力を入れている研究は、「万有情報網プロジェクト」というキーワードに集約されています。この言葉には、いろいろなストーリーが込められています。 目標としては、知的な機器のネットワークが万有引力のようにどこにでもあるような存在として、それとなく人間の生活をサポートすること、また、そのネットワークを介して、人間が取り溜めた情報が世の中のイノベーションに繋がるこ … [もっと読む...] about ネットワークとロボットをもっと身近な存在へ〜川原圭博・東京大学准教授
生きたまま細胞を見る、ライブイメージング技術〜中野明彦・東京大学教授/理化学研究所チームリーダー
これまで生命の神秘に覆い隠されてきた細胞内のメカニズムが、次々と開発される画期的な観察技術によって、急速に解明されつつある。世界中の研究者の注目を集める超解像顕微鏡「SCLIM(スクリム)」を開発した中野明彦教授は、この分野を牽引する研究者だ。中野教授の活躍の場は、細胞生物学研究や顕微鏡開発だけに留まらない。研究機関の垣根を越えて日本の学術基盤を強化するための試みが中野教授を中心に始まっている。生物学について、そして今後の基礎研究のあり方について、語って頂いた。 Q:現在の研究内容とは? 専門は細胞生物学です。その中でもタンパク質の細胞内輸送、つまり細胞内でタンパク質が運ばれる際に、はたらくべき場所まで到達するまでのさまざまな過程を研究しています。細胞内では、細胞小器官、つまり膜で仕切られた区画が、それぞれ独立した機能をもち、相互作用しています … [もっと読む...] about 生きたまま細胞を見る、ライブイメージング技術〜中野明彦・東京大学教授/理化学研究所チームリーダー
リプログラミング技術が、再生医療を変える〜家田真樹・慶應大学講師
世界中で注目が高まる再生医療の技術が大きく前進している。2010年にマウスの線維芽細胞に3つの遺伝子を加えて心筋様細胞へと変える「リプログラミング」技術を生み出した家田真樹講師は、2013年にヒト心臓線維芽細胞から直接心筋様細胞の作成に成功。この開発により、iPS細胞を経由しない再生医療の可能性が拓けた。社会に大きなインパクトを与え続けるこの分野は今後どのような発展を遂げていくのか。家田講師に再生医療の未来を伺った。 Q:現在の研究内容について教えてください。 心臓の再生研究をしています。皮膚や心臓の線維芽細胞と言われる細胞は心臓の筋肉ではない細胞ですが、その線維芽細胞を心臓の筋肉の細胞に変える研究をしています。もちろん何もしなければ変化することはないのですが、特殊な遺伝子を組み合わせて与えれば変化を起こせるということを我々が2010年に発見し … [もっと読む...] about リプログラミング技術が、再生医療を変える〜家田真樹・慶應大学講師
エピゲノム研究で、食糧危機を突破する〜金 鍾明・理化学研究所研究員
人類が直面する食糧危機問題に大きな一石を投じる研究成果が生まれた。植物のエピゲノム研究に取り組む研究者・金 … [もっと読む...] about エピゲノム研究で、食糧危機を突破する〜金 鍾明・理化学研究所研究員
MEMS 技術を医療に活用する~三木 則尚・慶應義塾大学准教授
スマートフォン、プロジェクター、プリンターから自動車に至るまで、MEMS 技術は我々の身の回りで陰ながら大車輪の活躍をしている。大きさ1 mm 以下の目に見えない機器を実現するMEMS 技術を、より身近な医療に活用する研究に取り組んでいるのが慶應義塾大学の三木則尚准教授だ。医療機器開発は、その高い将来性を見越し、米国では対応する学問分野としてバイオメディカルエンジニアリングが確立されているが、日本では研究開発者の育成カリキュラムが整備されておらず、茨の道と言える。患者のQOL 向上を目指し、新しい医療機器開発を目指してきた三木准教授に、この分野の最先端の技術や、研究と実用の間に横たわる「狭間」のプロセス、留学の勧めをはじめ、学生へのメッセージまで、幅広くお話を伺った。 日常に溶け込む微小で普遍的なMEMS 技術を新発想に応用 Q:MEMS … [もっと読む...] about MEMS 技術を医療に活用する~三木 則尚・慶應義塾大学准教授